株式会社FESスイス留学センター
まずはお気軽にご相談ください
スイス留学やFESに関するお問い合わせは、本ウェブサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご希望に応じてコンサルタントとの面談(無料)を設定させていただき、お客様のご要望に合わせた留学プランをご提案いたします。
ご家庭で立てられた留学プランや、スイスやボーディングスクールに関するご認識の確認等も歓迎しております。
スイスに移住するためには、出身国や移住の目的(たとえば就労、留学、家族再会、永住など)に応じて異なる法的要件が定められています。
日本はスイスとの間でビザ免除協定を結んでいるため、最大90日間の短期滞在についてはビザなしでの渡航が可能です。ただし、スイスへの移住を伴う長期滞在や、就労、留学、家族との同居といった目的で滞在する場合には、事前にビザの申請および滞在許可の取得が必要です。
日本人がスイスに長期滞在または移住するには、以下のいずれかの正当な滞在理由が求められます。
これらのいずれかの条件を満たした上で、スイス当局からの許可を得ることで、合法的に長期滞在や移住が可能となります。
本国籍を有する者がスイスに90日以内の短期滞在を行う場合、ビザは原則不要ですが、入国にあたっては以下の条件を満たしている必要があります。
まず、パスポートはスイス出国予定日から3か月以上の有効期間があることが求められます。加えて、滞在可能な日数は180日間のうち最大90日までであり、この日数はスイスを含むシェンゲン協定加盟国全体での合算になります。
滞在目的は明確であることが求められ、主に観光、親族訪問、ビジネス出張、あるいは短期の語学研修などが対象となります。また、滞在中の生活費や宿泊費をまかなえるだけの十分な経済的資力も必要であり、1日あたりおおよそ100スイスフラン以上が目安とされています。
滞在先についても明確にしておく必要があり、ホテルの予約確認書や、知人宅に宿泊する場合は招待状の提示を求められることがあります。さらに、帰国の意思を示すために、往復航空券や第三国への出国チケットの所持が望まれます。
また、医療保険については義務ではありませんが、シェンゲン域内で有効な旅行保険(補償額最低3万ユーロ相当)に加入しておくことが強く推奨されます。
最後に注意すべき点として、短期滞在中に報酬を得る活動を行うことはできません。つまり、無報酬のビジネスや観光目的に限定され、現地で給与・報酬を得るような労働行為には就労許可が必要です。
スイスでは、外国人が90日を超えて滞在するためには、滞在の目的に応じた滞在許可証の取得が必要です。滞在許可にはさまざまな種類があり、就労、留学、家族再会、または人道的事情など、個々の状況に応じた適切な許可証を申請することが求められます。以下に、代表的な5つの許可証について説明します。
1. L許可(Kurzaufenthaltsbewilligung) – 短期滞在許可
L許可は、短期間の就労や研修を目的とする外国人向けの滞在許可証です。通常、最長で1年間の滞在が認められており、必要に応じて更新することも可能です。取得にはスイス国内の雇用主との正式な雇用契約が必要であり、場合によってはスイスの労働市場テスト(国内およびEU労働者での充足が困難であることの証明)を通過する必要があります。
2. B許可(Aufenthaltsbewilligung) – 一時的な長期居住許可
B許可は、スイスに中長期的に居住する外国人に対して発行される許可証です。就労、家族の呼び寄せ、留学など、さまざまな目的に対応しています。許可は通常1年ごとに更新されますが、条件により最長5年の許可が与えられることもあります。取得には、雇用契約の存在、経済的に自立していること(生活保護に頼っていないこと)、住居の確保が求められます。また、申請者がEU/EFTA諸国出身か非EU圏(日本を含む)かによって、審査条件に違いがあります。
3. C許可(Niederlassungsbewilligung) – 永住許可
C許可は、スイスに永住することが認められた外国人に発行される許可証です。原則として、10年以上スイスに継続して滞在し、かつ統合に必要な条件を満たした外国人が対象となります。ただし、日本国籍者はスイスと日本の相互協定により、一定の条件を満たせば5年での取得も可能とされています。申請にあたっては、長期にわたる安定した居住歴のほか、犯罪歴がないことや生活保護の受給歴がないこと、スイス社会への統合(言語能力など)が要件となります。
4. G許可(Grenzgängerbewilligung) – 国境通勤者許可
G許可は、スイスの国境周辺の隣接国に住みながら、スイス国内の職場へ通勤して働く労働者向けの特別な滞在許可です。スイス国内の雇用主との雇用契約の締結が必須であり、許可の有効期間は契約期間に基づきます。対象者は主にフランス、ドイツ、イタリアなどの隣接国の住民であり、居住地と職場の距離が通勤圏内であることが求められます。
5. F許可 / N許可 – 難民・庇護申請者向けの一時滞在許可
F許可およびN許可は、人道的理由によりスイスでの一時的な滞在が認められる外国人に対して発行される滞在許可です。F許可は、迫害や危機的状況から一時的に避難している者に与えられ、N許可はスイスにおける庇護申請手続き中の外国人に与えられます。これらは通常の就労や移住目的の許可証とは異なり、スイスの人道支援制度の一環として運用されます。
スイスの滞在許可証には主に「B許可」と「C許可」があり、それぞれ滞在期間や目的、取得条件、更新や永住の可能性に違いがあります。
まず、B許可(Aufenthaltsbewilligung)は、長期滞在を目的とした許可証で、就労や家族の呼び寄せ、留学など幅広い目的に対応しています。取得するためには、有効な雇用契約や留学先の証明、経済的に自立していること、そして住居を確保していることが主な条件です。B許可は通常1年ごとに更新が必要で、最長で5年まで更新することが可能です。
一方、C許可(Niederlassungsbewilligung)は、スイスにおける永住許可であり、原則として10年以上継続して合法的に滞在していることが必要です。さらに、犯罪歴がないことやスイス社会への統合を示すための言語能力などの条件も求められます。C許可を取得すると更新手続きは不要となり、永住権として扱われます。
スイスは連邦制を採用しており、各カントン(州)がそれぞれ独自の規定を設けています。そのため、労働を伴う滞在、退職後の移住、学生ビザなど、滞在の目的によって求められる条件は大きく異なります。さらに、申請者の年齢や家族構成によっても必要な要件が変わる場合があるため、各カントンの最新情報を入念に確認し、自身の状況に応じた条件を十分に把握することが重要です。
スイスでの就職は移住に大きな影響を与える重要な要素です。特に日本人を含む非EU/EFTA国籍者にとっては、就労ビザの取得が移住や永住への第一歩となります。
非EU/EFTA国籍者がスイスで就労するには、現地の雇用主によるビザのスポンサーが必要です。これはスイス政府が非EU圏の人材に対して厳しい条件を設けているためであり、雇用主はその職種に適した人材がEU圏内にいなかったことを「労働市場テスト」によって証明しなければなりません。
就職先が決まると、滞在許可(労働ビザ)が発行されます。雇用期間が1年未満の場合は短期滞在を目的としたL許可が、1年以上の中・長期的な契約にはB許可が発行されます。これらの許可はいずれも更新が可能です。
就労ビザを取得することで、スイスでの合法的な滞在および居住が認められます。また、条件を満たせば配偶者や子どもなどの家族帯同も可能です。
スイスにおける就労ビザから永住権(C許可)への道筋は、いくつかの段階を経て進みます。以下にその基本的な流れと重要なポイントを整理してご説明します。
まず、スイスでの滞在を開始するには、就労ビザ(L許可またはB許可)を取得する必要があります。
L許可(短期滞在許可)は通常、1年未満の雇用契約に適用され、更新は可能ですが、長期滞在や永住を視野に入れた場合には適していません。
一方、B許可(居住許可)は1年以上の契約、もしくは無期限の雇用に対して発行され、原則として毎年更新が必要です。永住権(C許可)を申請するには、B許可による継続的な滞在が前提となります。なお、途中でL許可に戻ると、それまでの滞在年数がリセットされる可能性があるため注意が必要です。
次に、長期的な滞在を継続します。原則として10年間連続して合法的にスイスに滞在していることが、C許可の申請資格を得るための基本条件です。ただし、単に滞在年数を満たすだけでなく、以下の条件も満たす必要があります。
このように、スイスでの永住権取得は単なる滞在年数の経過だけでなく、社会的・経済的な自立と地域への適応が重要視される制度となっています。
スイス移住における語学要件は、滞在許可の種類やカントン(州)、滞在目的によって異なりますが、永住権(C許可)取得を目指す場合には、一般的に以下のレベルが求められます。
まず、永住権申請の際には、スイスの公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語のいずれかで、A2~B1レベル以上の語学力が必要とされることが多いです。これは「基本的な日常会話ができ、社会生活に支障がないレベル」とされています。
また、カントンによっては永住権申請時に語学力を証明するための公式な資格(例えば、ドイツ語のGoethe-Zertifikat、フランス語のDELF/DALF、イタリア語のCELIなど)の提出を求められる場合もあります。
一方で、学生ビザや就労ビザの段階では必ずしも高い語学力が求められないケースもありますが、日常生活や職場での円滑なコミュニケーションのために、現地の言語習得が強く推奨されています。
スイスでは、法律によりすべての居住者に基本的な健康保険(Krankenkasse)への加入が義務付けられています。移住者もこの規定の対象であり、スイスに居住を開始してから原則として3ヶ月以内に健康保険に加入しなければなりません。
健康保険には基本保険(Grundversicherung)があり、これはスイス連邦が定めた医療サービスの最低限の補償を提供するものです。加入者は、この基本保険を複数ある保険会社の中から自由に選択することができます。
保険料は、居住するカントンや選択する保険プラン、年齢、自己負担額(Franchise)によって異なります。
スイスでは、税務上の居住者とは「主にスイスに居住し、生活の中心がスイスにある者」と定義されています。一般的には、年間183日以上スイスに滞在する場合に税務上の居住者とみなされます。税務上の居住者は、スイス内外を問わず全世界の所得に対してスイスで課税されます。ただし、多くの国と結ばれている二重課税防止条約により、二重課税を避けるための措置が講じられています。
スイスは連邦制を採用しているため、連邦税だけでなく、居住するカントンおよび市町村でも独自に所得税や資産税が課されます。税率や控除額はカントンごとに異なり、そのため税負担は地域によって大きく異なることがあります。
税務上の居住者は毎年、前年の所得や資産について税務申告を行う義務があります。申告を怠るとペナルティが科されることがあるため、注意が必要です。
また、スイスでは所得税のほかに社会保障費(AHV/IV/EOなど)、消費税(MWST)、不動産税なども課される場合があります。特に社会保障制度への加入は義務付けられており、給与所得者の場合は給与から天引きされる形で支払うことが一般的です。
スイスに家族で移住する場合、主申請者(就労ビザや滞在許可を取得する本人)に加え、配偶者や未成年の子どももそれぞれ滞在許可を取得する必要があります。家族帯同の許可証は、原則として主申請者の滞在許可に基づいて発行されます。主申請者が就労ビザ(L許可・B許可など)を取得した後に、配偶者および子どもの帯同申請を行います。申請手続きは通常、主申請者の居住地にあるカントンの移民局を通じて実施されます。
スイス移住における住居確保は、移住準備の中でも非常に重要なステップの一つです。住居を確保する方法はいくつかあり、まずは永住用の物件をすぐに決めるのではなく、サービスアパートメントなどの短期滞在用の住居を一時的に利用するケースが多く見られます。これは、現地で生活環境を確認しながら落ち着いて本格的な住まいを探すための有効な手段です。
また、職場や知人、現地のコミュニティを通じて紹介を受けることも多く、信頼できる物件を見つけやすいというメリットがあります。希望条件が複雑であったり、外国人としての入居審査に不安がある場合には、不動産仲介業者を利用することでスムーズに契約を進められる場合もあります。ただし、仲介には手数料がかかることがあるため、その点には留意が必要です。
一般的な物件探しには、オンライン不動産ポータルサイトが広く利用されており、地域、家賃、間取りなどの条件を細かく設定して検索することが可能です。
賃貸契約にあたっては、いくつかの重要な注意点があります。まず、契約書の内容を正確に理解することが重要です。契約書はスイスの公用語(ドイツ語、フランス語、イタリア語)で作成されるのが一般的であるため、理解が難しい場合には翻訳を依頼したり、専門家に相談することをおすすめします。
敷金(保証金)については、家賃の1~3ヶ月分を支払うのが通例で、これは契約終了後に部屋の破損や未払いがなければ返還されます。契約前にその扱いや返還条件を確認しておくと安心です。
また、家賃以外の費用(Nebenkosten)として、共益費が別途請求されることがあります。これには暖房費、水道代、建物の共用部分の清掃費などが含まれます。こうした費用が月額家賃に含まれているのか、別途支払いが必要かを契約前に明確にしておきましょう。
契約期間と解約条件についても事前に理解しておく必要があります。多くの賃貸契約では、解約には3ヶ月前の予告が必要とされており、定期契約の場合は契約期間終了まで解約できない場合もあるため、ライフプランに合った契約形態を選ぶことが大切です。
最後に、入居時の物件の状態確認も非常に重要です。入居時には物件の状態を詳細にチェックし、傷や汚れなどを記録しておくことが、退去時のトラブル防止につながります。写真を撮って記録を残すことをおすすめします。
スイス移住後に銀行口座を開設したり、金融サービスを利用する際には、いくつかの要件や注意点があります。
まず、口座開設には有効な滞在許可証(L許可・B許可・C許可など)の提示が必要です。これは、スイスで合法的に居住していることを証明するための基本的な要件です。
また、多くの銀行では「スイス国内に居住していること」が口座開設の条件とされており、住所証明書類(賃貸契約書や公共料金の請求書など)の提出が求められることもあります。短期滞在者や滞在許可のない状態では、個人口座の開設が制限されることがあるため注意が必要です。
さらに、一部の銀行ではEU/EFTA圏外からの移住者に対して、追加の審査や書類の提出を求める場合があります。これはマネーロンダリング防止やリスク管理の一環として行われており、審査に時間がかかることもあります。
スムーズに手続きを進めるためには、滞在許可証の取得後、なるべく早めに必要書類を整え、信頼できる銀行を選ぶことが重要です。
スイスで金融サービスを利用する際には、いくつかの留意点があります。
まず、言語対応についてですが、銀行の契約書や各種サービス案内は、通常スイスの公用語であるドイツ語・フランス語・イタリア語で提供されます。そのため、これらの言語に不安がある場合は、英語対応が可能な銀行を選ぶと安心です。大手銀行や都市部の支店では、英語での対応や書類の用意が整っていることが多くあります。
次に、月額の口座維持費にも注意が必要です。一部には無料の銀行口座も存在しますが、多くの銀行では一定の条件(たとえば毎月の最低入金額や残高維持など)を満たさない場合に維持手数料が発生します。事前に条件をよく確認し、自分の利用スタイルに合ったプランを選ぶことが大切です。
また、クレジットカードの発行については、新規移住者には審査が厳しくなる傾向があります。スイス国内でのクレジットヒストリー(信用履歴)がない場合、発行が難しいことがあるため、最初はデビットカードやプリペイドカードの利用を検討すると良いでしょう。これらは口座開設時に併せて申し込めることが多く、日常の支払いにも便利です。
スイスに移住し、一定期間以上滞在または就労する場合、現地の社会保障制度への加入が原則として義務づけられます。スイスの社会保障制度は、年金、失業保険、医療保険、事故保険、家族手当など多岐にわたり、制度の充実度も高いことで知られています。外国人であっても、これらの制度に加入すれば、保険料の支払いに応じて給付を受ける権利が認められます。
スイスの社会保障制度の中核をなすのは、「三本柱方式」と呼ばれる年金制度です。これは、国家が提供する公的年金(第1の柱)、雇用主が運営する企業年金(第2の柱)、そして個人が任意で加入する私的年金(第3の柱)で構成されています。
スイス移住時の主な手続きの流れは以下の通りです。
まず、渡航前にはビザや就労許可の申請、住居探し、そして必要書類の準備を行います。
スイス到着後2週間以内には、市役所への居住登録を済ませ、仮住居を確保し、健康保険の申し込みを開始します。
到着から3ヶ月以内には、健康保険の加入を完了させ、銀行口座を開設し、滞在許可証を受け取ります。
そして、到着から3ヶ月以降は、本契約の住居を確保するとともに、語学学習や社会統合プログラムへの参加、また家族帯同の手続きなどを進めていきます。
スイスに移住を検討する際には、各カントンによって制度や条件が異なるため、慎重な情報収集と検討が必要です。スイスは連邦国家であり、カントンごとに独自の裁量権を持っているため、居住許可の取得要件、税制、行政対応、生活環境などが地域によって大きく異なります。
スイスでは外国人が滞在するために居住許可(例:B許可、C許可など)が必要ですが、その審査基準や受け入れ方針は州によって差があります。例えば、ビジネス目的や自己資金による移住、リタイアメント目的の居住許可については、州ごとに対応の柔軟さが異なります。大都市圏であるジュネーブ州やチューリッヒ州は申請数が多く、審査も厳格になる傾向があります。一方で、ツーク州やヴォー州など一部の州では、一定条件を満たすことで比較的柔軟な対応が期待できるケースもあります。
スイスでは連邦税に加えて、各州および市町村が独自の税率を設定しています。そのため、同じ収入・資産水準であっても居住する州によって税負担に大きな差が出ます。たとえば、ツーク州やシュヴィーツ州は税率が非常に低く、富裕層や企業にとって魅力的な地域とされています。一方、ジュネーブ州やヌーシャテル州は比較的税率が高く、移住者にとって負担が大きくなる可能性があります。
スイスにはドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの公用語があり、地域によって使われる言語や文化が大きく異なります。例えば、チューリッヒ州やベルン州はドイツ語圏、ジュネーブ州やヴォー州はフランス語圏、ティチーノ州はイタリア語圏に属します。自分や家族の語学力、子どもの教育方針などに応じて、言語圏を選択することは非常に重要な要素です。
居住地選びにおいては、生活の利便性や自然環境、交通インフラの充実度も大きな要因となります。チューリッヒやジュネーブといった都市部は交通や医療、教育機関が充実していますが、住宅価格が高く、競争も激しい傾向にあります。一方で、ルツェルンやローザンヌのような地方都市は比較的落ち着いた生活環境が整っており、家族向けの居住地として人気があります。
スイスに移住した後、より安定した滞在や生活の自由度を求めて、永住権(C許可証)やスイス市民権(帰化)を目指す人も少なくありません。これらを取得するには、一定の滞在期間や語学力、社会統合の度合いなどが求められます。また、手続きには州や市町村レベルの判断も関与するため、制度の仕組みと条件を正確に理解しておくことが重要です。
C許可は、スイスにおいて無期限の滞在および就労が認められる許可証であり、取得後は居住地や職種の制限がなくなります。通常は、スイスで10年間の合法的かつ継続的な滞在を経た後に申請することが可能です。ただし、ドイツ、フランス、イタリアなど一部の国籍の人に対しては、5年での取得が認められる場合もあります。
また、「良好な統合」と評価されれば、例外的に5年間の滞在でC許可の取得が許可されることもあります。この場合、語学力(口頭でCEFR A2、書き言葉でA1以上)、安定した収入、社会参加の実績などが重視されます。
C許可の申請に際しては、スイスの文化や法律への理解と適応、生活保護を受けていないこと、重大な犯罪歴がないことが求められます。取得後も、スイス国外に長期間住むと権利が失効する可能性があるため、注意が必要です
スイス国籍の取得は、帰化申請を通じて行います。大きく分けて「普通帰化」と「簡易帰化」の2種類があります。
1. 普通帰化
これは一般的な帰化の方法で、申請には原則としてスイスで10年以上の合法的な滞在が必要です。そのうち直近5年間は、継続してスイスに居住している必要があります。さらに、居住地域の公用語において、口頭でCEFR B1、筆記でA2以上の語学力が求められます。
加えて、申請者はスイス社会への統合度(文化的適応、法律の尊重、地域社会との関わりなど)や経済的自立(生活保護を受けていないこと)を証明しなければなりません。重大な犯罪歴も不利になります。手続きは、連邦政府だけでなく、州および市町村による独自審査を経て進められます。
2. 簡易帰化
簡易帰化は、スイス人配偶者との婚姻や、第2・第3世代の移民など特定の条件を満たす人に適用される制度です。たとえば、スイス人と結婚後5年以上が経過し、うち3年以上をスイスで過ごしている場合などは、簡易帰化の対象となる可能性があります。この制度では、州や市の審査が不要であるため、手続きが比較的迅速に進むという特徴があります。
市民権取得までのプロセスは、以下のように進行します。
通常、審査から承認までには1〜3年程度かかるのが一般的です。自治体によっては、地域社会での活動実績(ボランティアやクラブ参加など)が重視されることもあります。
永住権(C許可)と市民権(スイス国籍)は似ているようで、得られる権利や義務に明確な違いがあります。C許可は無期限の滞在と就労が可能ですが、政治的な権利(選挙権や被選挙権)はありません。一方で、市民権を取得すれば完全なスイス国民として認められ、選挙への参加やスイスパスポートの取得が可能になります。また、スイスは二重国籍を認めているため、母国の法律が許せば自国の国籍とスイス国籍の両方を保持することもできます。
スイスでは、滞在許可や就労ビザの取得が非常に厳格に管理されています。例えば、「観光ビザのまま就職先を探しながら滞在を延長しようとしたが、却下された」「雇用先に就労許可の手続きを任せていたが、結果的に許可が下りず入国できなかった」などのケースが多く見られます。
さらに、家族帯同を希望する場合でも、住居の広さや収入要件など細かな基準を満たさなければならないため、油断は禁物です。ビザ申請は一度却下されると再申請まで時間を要することがあるため、各種条件を正確に理解した上で、移住前に確実に手続きを進めることが重要です。
スイスでは、移住者を含むすべての居住者に対して、医療保険への加入が義務付けられています(居住開始から3か月以内)。しかし、「保険会社を比較検討している間に加入期限を過ぎてしまった」「費用を抑えようと最低限の補償プランを選んだが、実際の医療費がカバーされなかった」などのトラブルがしばしば発生します。
未加入のまま病気や事故に遭った場合、治療費は全額自己負担となり、しかも後から保険料を遡って請求されることもあります。さらに、自己負担額(フランチャイズ)や補償範囲の違いを理解せずに保険を選んだ結果、「保険があるのに使えない」という事態に陥ることもあるため注意が必要です。
スイスの住宅事情は、日本に比べて非常に競争が激しく、特に都市部では空き物件自体が少ないため、家探しに苦労するケースが多くあります。「スイスに渡航してから探そうと思っていたが、数か月見つからず仮住まいを転々とした」「外国人という理由で審査に通らなかった」「保証金の支払い条件を誤解して損失を出した」といった実例も見られます。
また、住居が確定しなければ住民登録や滞在許可の取得も進められないため、住居の確保は移住の出発点として極めて重要です。賃貸契約には保証人や収入証明、家賃3か月分のデポジットなどが求められるため、これらの条件を事前に確認し、必要書類を整えておくことが不可欠です。
スイスには、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの公用語があり、地域ごとに使用される言語が異なります。そのため、日常生活や行政手続き、職場や学校でのコミュニケーションを円滑に行うためには、居住地に応じた言語を新たに学ぶ必要がある場合もあります。たとえば、ドイツ語圏では標準ドイツ語だけでなく、現地の方言(スイス・ドイツ語)に触れる機会も多く、語学への柔軟な対応が求められます。
スイス移住にかかる総費用の目安や、準備に必要な期間は、ビザの種類・移住の目的(就労、家族帯同、留学など)・家族構成・居住地(都市部か地方か)によって大きく異なります。
スイスは物価が高く、初期費用もそれに応じて高額になります。移住に必要な初期費用は、おおよそ7,000〜14,000スイスフラン(日本円で約120万〜240万円前後)を見込んでおくと安心です。主な内訳は以下のとおりです:
渡航費:航空券代として800〜1,500CHF程度。
ビザ・滞在許可関連費用:滞在目的によって異なりますが、おおよそ100〜500CHF。
賃貸初期費用:家賃の3か月分の保証金に加え、初月家賃などで3,000〜5,000CHF。
生活用品・家具購入費:1,000〜3,000CHF程度(家具なし物件が多いため)。
通信・交通費:SIMカードや定期券の購入に100〜200CHF。
当面の生活費(1〜2か月分):2,000〜4,000CHF程度。
これらに加え、緊急時に備えて予備資金を用意しておくことも大切です。なお、家族帯同での移住の場合は、住居や保険、生活費などが大きく増えるため、これらの費用は倍以上になることもあります。
日本のように一つの国全体で統一された制度が成り立つのとは異なり、スイスではカントン(州)ごとに独自の制度が存在します。税制や言語もカントンによって異なるため、それぞれの地域の制度を正しく理解し、尊重することが求められます。また、食文化や言語をはじめとする日本との文化的な違いについても深く理解し、敬意を持って接することが重要です。さらに、新しい国に住む際には十分な資金準備をしておくことも欠かせません。
目次
関連記事