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スイス生活
スイス移住×6人家族の子育て日記
スイスの子どもたちは放課後、何してるの?
現在スイスで留学されるご家庭のサポートを担当しております、伊藤です。スイスに引っ越して、もうすぐ2年。4人の子どもたちとともに、新しい土地での暮らしを少しずつ築いています。新しい環境では、これまで「当たり前」だった日々のことが、まっさらな状態からのスタートになりますね。スーパーや病院といった生活の基本となる場所はもちろん、子どもたちの学校や放課後の習い事も、一から探し直さなくてはなりません。これまで続けてきた習い事を手放すこともありましたが、その分、新たな出会いや発見もありました。戸惑うこともありますが、そうした一つひとつの変化が、子どもたちがこの環境に慣れ、成長していくための大切なプロセスだと感じています。ところで、日本では、放課後といえば部活動や塾に通う子どもたちの姿が一般的ですよね。では、アルプスの山々に囲まれたスイスでは、子どもたちはどのような放課後を過ごしているのでしょうか?実は、日本とスイスの放課後の過ごし方には、大きな違いがあります。そのひとつが、スイスには日本のような「部活動」や「塾」がほとんど存在しないという点です。日本の学校では、先生方が授業後も部活動の顧問として生徒と関わることが多いですが、スイスの学校では、授業が終わると先生も生徒もそれぞれのお家へと帰っていきます。実際に、先週一週間、わが家の4人の子どもたちが何をして放課後の時間を過ごすか観察してみました。長女17歳高校生月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日バレーボールクラブトレーニングジムバレーボールクラブ演劇鑑賞買い物/外食音楽ジャムセッション長男14歳中学生月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日マウンテンバイククラブだらだら学校でのアルバイトバスケットボールクラブ友達とマウンテンバイク次男10歳小学生月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日図書館マウンテンバイククラブお友達と遊ぶ柔術お友達と遊ぶスイミングクラブ地域の映画観賞会次女幼稚園生月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日公園遊び自転車遊び音楽クラス公園遊び柔術プール遊びダンスクラスお友達とアイススケート今ご覧いただいた一週間の過ごし方は、夏期のものです。冬になると、マウンテンバイククラブはスキークラブに切り替わり、週に2回の練習が行われます。その他の習い事は、季節に関係なくそのまま継続されます。余談ですが、夏の間に取り組むマウンテンバイクは、実はスキーのためのトレーニングとしても位置づけられています。マウンテンバイクは、スキーに必要な体幹やバランス感覚を養うのに適しており、基礎的な体力づくりとして非常に効果的です。さらに、不安定な地形を走る際には、集中力や判断力に加え、急な坂を下るときに求められる気合いや勇気も必要になるため、メンタルトレーニングとしても優れた効果があります。そして、筋力不足によるけがを防ぐという目的もあります。このように、季節の変化に応じて放課後の過ごし方が大きく変わるのも、スイスアルプスならではの文化だと感じています。高校生の娘は、電車を使って自分であちこち移動しています。一方で下の3人は、スキーを含め、習い事や友達の家への行き来もすべて歩いて行ける範囲にあります。習い事の往復に時間を取られないぶん、習い事の前に宿題を終わらせたり、その後に友達と遊んだりするゆとりもあります。また、日本と比べると宿題の量もずっと少なく、日本で育った私は、その量の少なさに未だに慣れません…「スイスの子どもたちは放課後、何してるの?」答えは、季節とともに変わる、アクティブな毎日。自然の中で遊び、学び、育つ時間が、こちらでは当たり前な時間の過ごし方。宿題の少なさにはまだ慣れませんが…、このゆとりこそが、子どもたちにとって大切なことを育んでいるのかもしれません。